鍼による緑内障の治癒例

緑内障は、西洋医学にとって難しい病気で、40歳以上の日本人には、20人に1人の割合で緑内障の患者さんがいて、日本における失明原因の第1位と言われています。

東洋医学(中医)には緑内障という病名がないが、症状からみると中医の「五風内障」に該当します。「五風内障」中の「緑風内障」は西洋医学の急性緑内障に類似し、「青風内障」西洋医学の慢性緑内障に類似します。

鄭魁山先生は中医(針灸)の大家で、彼の著作『鄭氏針灸全集』に緑内障の治癒例が収録されます。緑内障の症状に対する東洋医学的な判断と治療方針および治療方法は点穴に非常に参考になるため、翻訳文を以下の通り掲載し、ご関心のある方がご参考ください。

鍼による緑内障の治癒例

患者

男性、63歳、1958620日初診

症状

患者は、左目の眼球に腫脹感があり、物がはっきり見えず、頭痛、めまい、眼圧が高いなど症状は1年以上に続く。この3か月間は時々吐き気や嘔吐があり、北京の病院で緑内障に診断された。

検査

視力:右1.2-2, 左0.8+3

眼圧:右4.27 kPa(32mmHg), 5.33kPa(40mmHg)

視野:左眼鼻側顕著に縮小

舌苔は薄白で、脈は弦滑である。

中医弁証

腎陰不足で肝陽が上亢して、目の栄養が阻害されているものである。

治療方針

養陰平肝、疎経活絡、清頭明目

治療方法(穴位と手法)

1)物がはっきり見えない時には、風池、絲竹空、攅竹穴に平補平瀉法,内晴明に圧針緩進法を施し、清頭明目をおこなう。

2)吐き気・嘔吐の時にには、中脘、内関、足三里穴に平補平瀉法を施し、20~30分間置針して、降逆和胃をおこなう。

3)頭痛やめまいまたは眼圧が高い時には、合谷、光明、三陰交穴に平補平瀉法を施し、20~30分間置針して、養陰平肝と疎経活絡をおこなう。

治療は隔日で行った。

効果

10回の鍼治療で両眼の眼圧がともに3.3 kPa(25mmHg)まで下がった。48回の治療で、視力は右1.2、左1.5に回復し、眼圧は右2.93kPa(22mmHg)、左3.3 kPa(25mmHg)となった。さらに22回の治療をおこない2か月観察した結果、再発がなかったため、治療を終了した。